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神戸発ベンチャー企業T-ICUが開発途上国への技術協力として世界初12か国14病院への実施を達成*1 〜NHK worldが活動の一部を紹介採用~ 当社主催の協力医師・看護師への記念品授与式を通じ、今後も継続した協力体制向けての意志を高め合いました

遠隔ICUサポートサービスを展開する株式会社T-ICU(本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長/医師:中西 智之、以下「当社」)は、独立行政法人国際協力機構(以下「JICA」)の「感染症流行時の遠隔ICU支援のあり方に係る情報収集・確認調査」(以下「調査」)を基に支援ニーズを確認し、技術協力「新型コロナウイルス感染症流行下における遠隔技術を活用した集中治療能力強化プロジェクト」に取り組みました。2020年12月から調査を開始し、プロジェクトは2021年9月まで。株式会社シー・ディー・シー・インターナショナルと共同企業体(JV)を組み、開発途上国の集中治療に従事する医師・看護師と、日本の集中治療医・看護師を遠隔で結び、集中治療にかかる研修や遠隔ICUサービスによる技術的助言を12カ国、14病院を対象に行いました。このように一つのプロジェクトで多数の国にまたがっての実績を作ったのは、世界で初めてのこととなります*1。

※プロジェクトの詳細については以下をご参照ください。
JICA集中治療能力強化プロジェクトに関する活動の概要報告:
https://www.t-icu.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/12/t-icu.projectreport_jica.pdf

(写真)プロジェクト完了記念品授与式での集合写真

2022年10月13日にはプロジェクト完了記念品授与式を実施し、ご協力いただいた医師・看護師、および関係団体へ感謝の気持ちをお伝えすると共に、支援先各国における本プロジェクトの評価や影響について関係者全員で情報を共有しました。

<参列者> 
・ 千葉県救急医療センター 集中治療科医長 医師 近藤 夏樹 様
・ 北里大学病院 看護師 内藤 亜樹 様
・ 北里大学病院 看護師 長内 洋一 様
(その他協力医師・看護師の方はオンラインでのご参加)
<来賓>
・ 公立大学法人神戸市看護大学 学長 南 裕子 様(*オンラインでのご参加)
・ JICA ガバナンス・平和構築部 宮田 真弓 様(*オンラインでのご参加)

【参列者、来賓によるスピーチ】(*一部抜粋・編集)
・ 千葉県救急医療センター 集中治療科医長 医師 近藤 夏樹 様 :

5-6年程前、アメリカで実施されている話だったと記憶しています。世の中にはこんなに進んだ医療の分野があるのだと感心しました。海外では重症患者の対応は集中治療医が対応するが、日本においてはそもそも集中治療医の数が少なく各診療科の医師が担当しているのが現状です。遠隔ICUという仕組みが日本に入ってくれば、医療の質や安全が担保されるのはもちろん、まさに日本の医療に一番必要とされるのではないかと思っていました。そんな中で今回T-ICUから本プロジェクトのお話をいただき、まさに「これだ!」と思い応募しました。
私は、今回のプロジェクトを通して初めて海外の病院の様子を垣間見ることが出来ました。日本に居ながらにして、様々な国の病院をみることができ、かつICUの診療を担当することができる。これは非常に貴重な経験となりました。また、日本の医療水準の高さを再認識したのはもちろんのことですが、海外では医療資源や薬剤の制限はあったものの、医師の医学的知識や診療内容など目指している医療は、思ったより日本との差はないのではと感じました。むしろ制限のある中で、どうやって最大限の医療を提供しようかと考えている病院が多かったように思います。
また海外では医師の働き方は完全にシフト制となっており、日本ではしばしば医師の過重労働が問題となっていますが、働き方という観点で言えば、むしろ日本の方が海外から学ぶべき点は多かったように思います。医療支援を通して、日本の医療の良いところはどんどん世界に発信しつつ、世界の医療の良いところは柔軟に取り入れながら、日本そして世界の医療がもっと発展していけば良いと思います。

・ 北里大学病院 看護師 内藤 亜樹 様 :

本プロジェクトの話を聞いた時、とてもワクワクして、外の世界に向けて何か自分が貢献できることがあるのではないかと思い参加しました。
支援をする立場ではありましたが、稀な病気の症例を取り上げる場面もあり、私自身もたくさん勉強することが必要でした。看護師の視点で、患者さんのどういった変化に気がつかないといけないのか、どういった事を考えないといけないのかを、私自身も学びながら一緒にディスカッション出来たと思います。看護にあたる人材の専門知識・技術の深さや医療資源において日本との違いを感じましたが、一方で、COVID-19で患者さんを多数受け入れていた時期、看護師のストレスや不安を取り上げディスカッションをしたことがあり、そのような経験を通じて、環境は違えどやはり看護師として抱えている悩みは一緒なんだと実感しました。
遠隔ICUに携わったことは初めてでしたが、これからもいろいろな事が出来そうな可能性を感じており、とても期待しています。また何かお手伝いできることがあれば、ぜひ参加させて頂きたいと思っております。

・ 北里大学病院 看護師 長内 洋一 様:

私は学生時代から国際協力に興味があり、みなとみらいでJICAさんの施設を借りて医学生や薬剤師、看護師の卵達が議論するという非常に刺激的な場に参加していました。しかし医療の質をどうやってあげるかといった話の行き着く先は、根本的なインフラ整備や水問題など医療従事者が手を出せないところの問題を強く感じ、やはり私は日本で頑張ろうと国内で看護師を続けていました。認定看護師となり、国際協力を手伝ってみないかとお声をかけて頂いた時は学生の頃の気持ちが戻ってきて、やってみたいと思いました。自分が学んできた知識や考えなどを相手に伝え、それが現地で広がっていくという形も素晴らしい支援だと思いました。
いざやってみると、相手が何を訴え、質問しているのかを汲み取る難しさはありましたが、看護師としての悩みや医療的なジレンマなどは非常に我々と似ていて、場所は離れていても同じ仲間としてスケジュールドケアをしていました。非常に刺激的な経験をさせて頂き、また何かありましたらお手伝いさせて頂きたいと思う次第です。(スケジュールドケア:ICU患者の治療やケアに関して定期的に行われる、日本と現地の医療従事者間のオンライン症例検討と助言)

・ JICAガバナンス・平和構築部 宮田真弓 様:
この機会に、今日は皆様に各地・各方面から頂いている評価を皆様への感謝の気持ちとともに少し紹介させて頂きます。
まず最も早く協力を開始したインドネシアの2病院の先生方は、他の病院にもこの経験をぜひ伝えたいということで、他の大学病院を集めたセミナーを実施されました。その中で、「毎回のセッションが大変良く準備されていて、日本の先生方のプロフェッショナリズムには大変刺激された、プロジェクトとはこういう風に進めるものかと開眼させられた」というコメントを頂きました。
またメキシコの保健省からは、最後の協議の場で、「このプロジェクトが大成功したことを高く評価する。この成果を活用してメキシコ東南部地域を中心に遠隔医療技術を波及させて行くという計画を策定する」という言葉を頂いています。
またメキシコでは、この案件開始時にJICAがFacebookに記事を投稿したところ7万人以上の「いいね」がついたということで、昨年度JICA英語発信のSNS記事で最もアクセスされた記事になったそうです。
最後ですが、グアテマラのサンビセンテ病院(注:過去に日本の支援で建設された病院)の院長先生からは、「結核専門病院として細々と機能していた当病院はある意味忘れられた存在だった。この話が来た時に、日本がどこまで協力してくれるのか半信半疑だったけれども、これ程短期間に活動を計画通り実施できたことに驚いた」という言葉を頂いております。
また日本側でも、反響を多く頂いております。多くの新聞やウェブなど記事になった他、NHKでも取り上げていただけると聞いております。T-ICU社さんへの世間のご関心の高さによるところも、かなり大きいかと思いますが、JICAとしてもこういった形で我々の取り組みを広く知っていただけるのは大変ありがたいと思っておりますし、先生方の貢献を少しでも多くの方に知って頂けたら幸いです。
今回、日本からご協力頂いた医師・看護師の方々は、臨床現場にいらっしゃる方々は日々忙しく、国際協力に参画いただく機会は今まで無かったが、今回こうした遠隔でパートタイムでご協力いただくという、新しい形態が見つかったというのは大きな副産物だと考えております。これを機会に、このような協力形態を、我々の事業の中で取り入れていく方法を模索したいと考えております。
最後になりますが、JICAは「信頼で世界をつなぐ」というビジョンを掲げて日々活動をしておりますが、信頼というのは長く少しずつ積み上げて行くことが必要です。まさに今回参画いただいた医師・看護師の方々による研修とかスケジュールドケア各セッションで紡がれた学び、それから共感、感動といったものが、日本と相手国の2国間関係の向上、ひいては世界の安定・平和につながるものと強く信じております。
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そして2022年11月30日には、NHK WORLD – JAPANの番組『Sharing the Future』にて、代表中西のインタビューを含む、本プロジェクトの活動の一部が紹介されました。
撮影・取材は日本、インドネシア、メキシコと3カ国にわたって行われ、日本の協力医師・看護師が本プロジェクトに参画した想いや、現地との定例セッションの様子、また、途上国が抱える医療的な問題や課題にも触れられており、日本のみならず海外においての遠隔医療・遠隔ICUの有効性と普及の必要性がよく分かる内容となっております。

University of Indonesia Hospital (Depok, Indonesia)での撮影風景

<番組情報>
放送局:NHK WORLD-JAPAN
番組名:「Sharing the Future」 
(開発途上国のコミュニティと協力し、問題解決に役立つ新しいアイデアと取り組みを行う日本人によるプロジェクトを紹介する番組)
当社紹介回:2022年11月30日放送回 “Transcending Borders with Remote ICUs: Indonesia and Mexico”
番組HP:https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/tv/sharing/
※ 2023年11月30日まで、上記番組HPからオンデマンド視聴(無料)が可能。

*1 遠隔ICU推進において、1社が1プロジェクトの中で手がける診療支援対象国の数として世界初。自社調べ(2022年12月1日時点)

【コメント】
T-ICU代表取締役社長 / 医師 / 医学博士  中西 智之

調査開始の2020年12月から約2年にわたり実施されたJICA集中治療能力強化プロジェクトは、JICAをはじめ関係団体の方々、日本の協力医師・看護師、そして支援先の12カ国14病院で働く医師・看護師と世界中から多くの人が参加しました。日本の医療現場とは環境の違う途上国で働く医療従事者に対し、日々の臨床現場での治療経験から培った知見を活かしたアドバイスを提供してくださった日本の協力医師・看護師。そして限られた設備と人材不足に苦しみながらも、患者に寄り添い、治療の質の向上に懸命に取り組まれている途上国の医師・看護師。それぞれが違う環境に居ながらも、我々の共通の想いは「そこにある命を救う」ことだと思います。
遠隔医療は場所を選びません。その特性を活かせば遠隔医療でできる国際協力の可能性は多くあります。本プロジェクトを通じて、学びを得ると共に、新たな機会も見つかりました。それは大きな自信となっています。コロナ禍で一気に認知度が上がったICUですが、パンデミック後も引き続き世界各国でのICUの環境整備は重要な課題です。遠隔ICUは世界で必要だという強い確信のもと、それを早く広めるためこれからも遠隔医療、遠隔ICUの普及と発展に貢献してまいります。

【提供サービスについて】

【株式会社T-ICU】
当社は2016年に創業し、遠隔ICUサポートサービスをてがけてきました。集中治療科医・集中ケア認定看護師のチームを擁し、医療機関向けに専門性の高いサポートを提供する日本で唯一の事業会社です。「世界中の人々に、最高の医療をAnywhere, we care.」をミッションとし、「専門知識と経験で医療現場を支え、患者・医療従事者・関わる人々の願いがかなう環境へ」というビジョン達成に向け、さらなる成長と企業価値の向上を推進して参ります。

事業内容:集中治療支援・医療情報提供サービス・医療コンサルティング等
代表取締役社長/医師/医学博士:中西 智之
所在地:〒651-0085 兵庫県神戸市中央区八幡通3丁目2-5 IN東洋ビル605
URL: https://www.t-icu.co.jp/

◆2023年2月、社名を「株式会社Vitaars (ヴィターズ)」に変更します◆
*本社名変更は、2022年12月開催予定の定時株主総会において承認されることが条件となります。
関連プレスリリース:https://www.t-icu.co.jp/news/press/2805.html

代表取締役社長/医師/医学博士 中西 智之 経歴:
2001年 京都府立医科大学 医学部 卒業
2003年 熊本赤十字病院 心臓血管外科
2007年 横浜市立病院 麻酔科
2009年 武蔵野赤十字病院 救急救命センター
2013年 守口生野記念病院 救急科
2019年 聖マリアンナ医科大学 非常勤講師(救急医学)
2021年 東京医科歯科大学 客員准教授
2021年 Marine City Medical College&Hospital 国際客員准教授
集中治療専門医・救急科専門医・麻酔科専門医 等

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